肩腱板断裂(肩腱板損傷) の原因

肩腱板損傷、肩腱板断裂では様々な要因によって発症すると言われています。ここでは発症の理由について解説します。

主な原因

肩腱板損傷の主な原因には以下のことが挙げられます。

  • 急性断裂
  • 変性断裂


これら2つの断裂と危険因子について解説していきます。

急性断裂

急性断裂は突然肩腱板損傷が起きる状態です。例えば、床にあった重いものを持ち上げた場面や何らかの理由で肩を強打した場面、転びそうになって手を突いた場面などで衝撃が強くかかって、肩腱板損傷が起きてしまうケースが考えられます。

急性断裂は高齢者はもちろん、若い人でもなってしまいます。若い人が肩腱板損傷になる場合は基本的に急性断裂がほとんどです。また肩関節の脱臼などに付随する形で腱板が断裂してしまうこともあります。

変性断裂

変性断裂は一言でいえば「腱板の経年劣化」と言えます。年齢を重ねることで腱板の柔軟性が損なわれていき、何度も使っていく中で腱板が擦り切れるような形になりやすいからです。その結果、ちょっとした断裂が生まれ、その断裂が段々と大きくなって肩腱板損傷につながっていきます。

そもそも腱板には肩峰など「屋根的な部分」があり、腕を動かす中でこの屋根に腱板がぶつかります。こすられるような形で当たるため、次第に腱板は劣化し、摩耗して切れてしまうというのがおおまかなメカニズムです。

誰しも肩などは動かすので、日常生活を送る中で勝手にすり減り、知らず知らずのうちに発症してしまうことがあります。

ほとんどの肩腱板損傷は、経年劣化的に起きるため、年齢を重ねると誰しもが発症してもおかしくない症状です。この場合でよく例に出されるのがゴムです。ゴムも最初は柔軟性がありますが、次第に経年劣化し、最終的にパチンと切れてしまいます。

また肩腱板損傷が起こりやすいのは利き腕であり、右手が聞き手の方であれば右肩に損傷が起こりやすくなります。しかしながら、この場合、左肩も損傷している可能性が高く、一方の肩だけが守られているとは限りません。

変性断裂の原因

変性断裂には多様な原因が考えられます。ここからは変性断裂の原因に絞って解説していきます。

何度も反復して動かす仕事・運動

変性断裂で最も多いと言ってもいい原因は、何度も反復して動かす仕事・運動です。例えば、野球の場合には投手であれば1試合で100球以上投げることがあります。他にもテニスも一生懸命サーブを打ったり、バレーボールでもスパイクを決めたりするのに肩を使います。

例えば、水泳ではクロールやバタフライなど腕や肩を繰り返し使い続けます。頭より上に上げて動かし続けることになるため、変性断裂の可能性が増してしまうのです。

運動は全くしないという方も、普段の炊事洗濯の場面において肩を動かす機会は多いでしょう。また農業や漁業など肩などを酷使するように使って仕事を行っているケースもあります。これらのケースは生活していく以上避けること自体が難しいものばかりです。

腱板に流れる血流の減少

肩腱板損傷は腱板に流れる血流の減少によって起こりやすくなると言われています。腱板には腱細胞を生み出すコラーゲンが多く存在します。コラーゲンが束のようになったものが腱であり、これが柔軟性を生み出しています。しかし、コラーゲンは年齢とともに減っていき、劣化につながります。

コラーゲンの減少と関係するのが血流です。コラーゲンを生み出す細胞は血管の近くにあり、血流に大きな影響を受けます。つまり、血流がある程度確保されているうちはコラーゲンは一定量をキープできると言えるのです。

血流が減る要因には色々なことが考えられます。運動不足を始め、ストレスや喫煙なども要因です。筋力が低下することで筋肉が本来持っている血液を送り出すパワーが少なくなり、血液が循環しにくくなるのです。

喫煙も血流を著しく悪くする原因であり、肩腱板損傷を誘発すると言っても過言ではありません。ですので、変性断裂を防ぐには日常生活の見直しなども必要になると言えるでしょう。

肩峰に骨の棘ができる

年齢を重ねていく中で肩峰に骨の棘ができ、それが大きくなっていきます。腕を動かしていく中で段々と大きくなっていくものであり、年齢とともに肩峰に骨の棘が大きくなります。

この状態になると、肩峰にある骨の棘と腱板がぶつかるようになり、その現象をインピンジメント現象と呼びます。このインピンジメント現象が頻発するようになると次第に腱板にダメージが重なっていき、腱板断裂につながります。

そのため、状況次第では肩峰にある骨の棘を切除していくことになります。スポーツ選手なども肩峰に骨の棘ができる場合があるため、年齢に関係なく状況次第で発症の原因となるケースです。

危険因子

年齢を重ねると、どうしてもコラーゲンが減少し、血流も悪くなりやすいため、40歳以上の方は基本的に腱板損傷の可能性が高まっていることを覚悟した方がいいでしょう。その中でちょっとした動きで断裂してしまうため、注意が必要です。

また危険因子として、生活習慣病なども入るのではないかという考えもあり、最近では腱板損傷と生活習慣病などとの因果関係を研究しているケースも見られます。その中では腱板損傷の状態にある患者はコレステロールが高い値を示す傾向にあり、喫煙者や血糖値が高い状態も危険因子になり得るという傾向が見られました。

若い世代では野球やバレーボール、テニス、水泳など腕を反復的に動かすスポーツなどで腱板損傷を引き起こす場合があります。

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