肩腱板断裂(肩腱板損傷) の予防法

肩腱板断裂の状態は日常生活に様々な支障をもたらすほか、大好きな野球やテニスなどが一時的にできなくなるため、それらのスポーツを趣味としている方にとっては厳しい状況となります。

肩腱板断裂は誰しもがなる可能性があるものだからこそ、事前に対策を立てることで防いでいくことが求められます。ここからは肩腱板断裂の予防法についてご紹介していきます。

予防するには

肩腱板損傷の主な原因には以下のことが挙げられます。

  • 肩や肩甲骨の筋肉をバランスよく使えるようにする
  • 痛みを感じたらしっかりと休養する
  • 喫煙者はすぐに禁煙を行う
  • フォームを見直す
  • 肩を酷使しない仕事に切り替える
  • トレーニング


ここからは上記の対策について解説していきます。

肩や肩甲骨の筋肉をバランスよく使えるようにする

肩関節は元々不安定な構造をしているため、周辺の筋肉がしっかりとサポートしています。理想的なサポートが行われているケースとして各々の筋肉が同じような負担によって支えられているケースが挙げられます。

しかし、場合によっては何かしらの筋肉がうまく機能しないこともあります。すると、別の筋肉がその分をカバーするため、特定の筋肉に強い負荷がかかることも考えられるでしょう。その状態を続けてしまうことで結果として腱板の断裂につながってしまいます。

そのため、肩や肩甲骨の筋肉をバランスよく使えるようにすることで、筋肉が本来持つ柔軟性を確保することができます。

バランスよく使うには肩や肩甲骨のストレッチを行うことが一番です。できる限りストレッチを行っていく中で常に動きやすい状態に保てるので、断裂を防いでいくことが可能になります。

痛みを感じたらしっかりと休養する

肩を動かした後に痛みを感じた場合には、これ以上動かさないようしっかりと休養をとるのがおすすめです。痛みを感じた時点で一定のダメージがかかっている状態であり、その状態でより負荷をかければ何らかの影響が出るのは必然と言えます。

そのため、痛みを感じたらなるべく安静にすることが求められます。肩腱板断裂と診断されて発症初期は安静の処置がとられますが、予防の場面においても同じことが言えるでしょう。

喫煙者はすぐに禁煙を行う

肩腱板断裂と密接に関係するのが喫煙です。過去の研究では、タバコの本数などが多い人ほど肩腱板断裂での断裂が大きくなりやすいという傾向が示されています。腱板の質は血流の低下によって落ちやすく、腱板の質を保つのに欠かせないコラーゲンの減少にもつながります。

タバコにはニコチンが含まれ、このニコチンに血管を収縮させる作用があります。腱板が断裂しているにもかかわらず、その部分に血流がさほど流れず修復が進まず、より悪化していくということが考えられます。

そのため、喫煙者はすぐに禁煙を行い、血流の低下を防ぐことが大切です。喫煙は肩腱板断裂以外にも様々な悪影響を及ぼします。禁煙を行うことは肩腱板断裂以外の疾病を防ぐという点でも大切なことなのです。

フォームを見直す

肩腱板断裂は運動によっても引き起こされます。それぞれのスポーツには理想のフォームがあり、きれいなフォームであれば肩に支障が出ない形で続けることができます。例えば、野球であれば投球フォームがしっかりしていれば肩へのトラブルは起こりませんが、目いっぱい投げる中でフォームを気にしないで投げていくと次第に肩のトラブルが起こり始めます。

肩腱板断裂は「野球肩」と称されることがあるなど、野球ではありがちな症状と言えます。よく指摘されるのは投球フォームの問題、球数の多さ、無理なピッチングなどです。投球フォームを見直し、球数を制限し、無理なピッチングをさせない形で野球を行っていけば、防ぐことは可能です。

これは野球に限らず、テニスや水泳などにも言えます。正しいフォームでやることはタイムやパフォーマンスを高めるだけでなく自分の体を守るためにも必要なことです。最初のうちは正しいフォームを身につける練習ばかりでつまらなく感じる人もいるでしょうが、肩腱板断裂の予防などの意味合いがあると思うと、練習への取り組み方が変わるはずです。

肩を酷使しない仕事に切り替える

肩腱板断裂は肩を酷使することで起こりやすくなります。農業や漁業のようにどうしても肩を酷使するような仕事もあれば、マウスのクリックが意外にも腱板に悪影響を及ぼすこともあります。いずれにしても、肩をできるだけ酷使しない仕事に切り替えていくことも大切な予防策です。

「肩を酷使しない仕事に切り替えるのは厳しい…」という場合であれば、ストレッチなどを入念に行う、休養をとるなど、これまでに紹介した内容を取り入れることをおすすめします。

トレーニング

最後にご紹介するのはトレーニングです。肩腱板断裂を予防するにはトレーニングを行っていくことが大切です。ここからは肩腱板断裂を予防するトレーニングについていくつかご紹介します。

棘上筋エクササイズ

棘上筋エクササイズは文字通り、棘上筋に働きかけるエクササイズです。棘上筋エクササイズはいくつもあり、例えば、肩の後方に手をまわして左手の指先で右側の肩甲骨に触れる、右手の指先で左側の肩甲骨に触れることを「同時に」行うやり方があります。

また、500ミリのペットボトルに水などをフルに入れた状態で肘を曲げないように、肩を45度上げるエクササイズも存在します。この場合は1セット30回を3セット分行います。負荷はさほどかかりませんが、それでも棘上筋にしっかりと働きかけることが可能です。

うちわを使ったトレーニング

より簡単に行えるのがうちわを使ったトレーニングです。柄の付け根をグリップする形でつかみ、左手でつかんだ場合には体の中心と左半身から若干オーバーしたところまで、右手でつかんだ場合には身体の中心と右半身から若干オーバーしたところまで、それぞれあおぎます。

あおぐ速さでは1回の往復でおよそ1秒程度、これを30かい行います。本来のうちわはバタバタとあおぐ形ですが、このトレーニングでは1秒で往復する形なので若干ゆっくりめを意識して動かします。

注意したいのは手首をスナップさせるように動かしても意味がない点です。手首を固定して腕を動かすようにトレーニングを重ねていくことが求められます。

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