肩関節のしくみ
肩こりや四十肩、五十肩など肩の悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。一方で肩関節のしくみを理解し、なぜこれらの症状が出てしまうのかを理解している方は意外と少ないかもしれません。
ここでは肩関節のしくみについて、構造や筋肉、特徴などを解説していきます。
肩の構造

肩は大きく分けて2つの部分で構成されています。1つは上腕骨と鎖骨、もう1つは肩甲骨です。それぞれが持つ特徴と、それぞれの要素に関連した部位の解説を行います。
上腕骨
上腕骨はいわゆる二の腕付近にある骨を指し、上腕骨は上腕骨頭と呼ばれる部分が軟骨になっており、この部分が肩甲骨を受け止める形になります。凸凹で表すと上腕骨頭は凸にあたり、肩甲骨側が凹として上腕骨頭を受け止める形です。
上腕骨頭付近を大幅に覆うように存在する袋のようなものがあり、これが関節包です。たくさんの関節液があるので、動きをスムーズなものにさせてくれます。
肩甲骨
肩甲骨は上腕骨頭を受け止めることで、肩関節の動きをスムーズなものにさせる大事な部分です。こちらも先端は軟骨になっており、軟骨同士で受け止めあうため、スムーズに動かすことが可能です。この部分を「肩甲上腕関節」と呼び、肩関節として扱われます。
逆に軟骨がすり減ってしまうと、動かすたびに痛く感じる、動きにスムーズさがなくなるなどの問題が生じます。
また肩関節は周囲の筋肉・靭帯によってガッチリ支えられている部位であり、これらの筋肉がないと肩関節は動きが不安定になります。そのため、肩の筋肉は肩をしっかりと動かすのに貴重な存在となるのです。
肩甲骨は鎖骨とつながっており、肩関節側にあるのが肩峰です。ちなみに鎖骨側の先頭は鎖骨遠位端と呼びます。
鎖骨
鎖骨は肩甲骨と胸骨を橋渡しする骨であり、腕をがっちりとつなぐために必要です。いわば鎖骨は肩や腕などをつなぎ合わせて自由に動かせるようにする存在であるとともに、鎖骨が首周りの神経などを守る効果があります。
肩の筋肉

次にご紹介するのは肩の筋肉についてです。
体表に近い筋肉
肩関節周辺にある体表に近い筋肉には、僧帽筋と三角筋、後半金、上腕三頭筋が有名です。僧帽筋は首周辺にある筋肉で、肩甲骨を動かすのに欠かせない筋肉です。僧帽筋には上部・中部・下部が存在しており、肩を上げる動作などで上部・中部・下部の筋肉が動き出します。
三角筋は肩峰などにくっつく筋肉で、こちらは上腕骨にくっつきます。三角筋も3つの部位に分かれており、こちらは前部・中部・後部と筋肉が分けられており、腕を前に動かす際には前部、腕を真横に上げる際には中部が動くなど、こちらも自由に動かせるようになっています。
広背筋は腕を上げる際に欠かせない筋肉で、上腕骨についています。上腕三頭筋は肘を伸ばす際に用いられ、肩甲骨につきます。上腕三頭筋という名前がありながらも、つく部位は肩甲骨という少し変わった名前も覚えておきたいポイントです。
奥の筋肉や腱
肩の奥にある筋肉として、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋があります。これらは「回旋筋腱板」、「ローテーターカフ」とも呼ばれ、肩関節を支える大事な存在です。またこれら4つの筋肉は「腱板」とも呼ばれ、これらの筋肉が傷ついてしまう「肩腱板損傷」となると、様々な悪影響が出てしまいます。
棘上筋は肩甲骨と上腕骨をつないでいる筋肉で、位置的には三角筋や僧帽筋の下にあります。棘上筋には腕を真横に上げる際にサポートする働きがあるのが特徴です。
棘下筋は、肩甲骨に被さるように存在する筋肉で、筋肉の大きさとしてはそこそこの大きさがあります。後頭部を触るなどの動作の際に支える働きが見られます。棘下筋は常に負担がかかりやすく、棘下筋を押すと痛みを感じる人が少なくありません。
肩甲下筋は、下から荷物を持ち上げる、お尻のポケットにあるものを取り出すなどの動作をする際に動く筋肉です。肩関節を動かすのに重要な筋肉で、この部分を痛めると四十肩や五十肩と呼ばれる症状になります。
小円筋は腋の近くにある筋肉で、この部分が凝り固まると神経に影響が出て、様々な痛みが生じます。しかも、小円筋はデスクワークなどで頻繁に使う筋肉ゆえに、ケアが求められる部位です。
肩の特徴
肩の特徴にはいくつかの点が挙げられます。肩関節は人間の関節の中でも可動域が最も広いことで知られています。自由に動かせるからこそ、様々な動きが行えるというわけです。しかも、肩がすんなりと動くことで、その先の腕、手も自由に動かせます。いわば、肩がしっかりと動くと手までもちゃんと動かせるようになるのです。
何より肩は日常生活をスムーズにする、もしくは運動などを行うなどの場面で絶対に欠かせない存在です。一方で、自由に動かせるということは、それだけ様々な障害が起こりやすいことを意味します。特にデスクワークなどで知らず知らずのうちに筋肉に悪影響を与えてしまっていることもあるでしょう。
本来肩関節は不安定なもので、それを支えるように筋肉があります。この筋肉が何らかの理由で弱まっていると肩関節にも悪影響が出てしまいます。いわば肩が自由に動かせるのは筋肉のおかげと言っても過言ではありません。そして、四十肩、肩こりなどは肩周りの筋肉による症状です。
肩を痛めるというのは、肩の筋肉を傷めたのと同じです。ゆえに肩の痛みに対してはいかに肩の筋肉と対峙していくかが必要となります。
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